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朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:50日目【SCMの組織体制とは(新たな考え)】
①日本のSCMと本来のSCMとは
日本ではSCMの導入が米国に対して10年以上も遅れて紹介された事もあり、日本でのSCMの取り組みは「戦略的な経営手法」から「先進的な生産管理手法」へ転換された
日本の多くの製造企業のSCMの取り組みは、「企業に高収益をもたらす」目的以上に、在庫削減やリードタイム短縮といった方向に目的を変えて行われた
本来、「企業に高収益をもたらす」ことをROAを向上させることに言い換えると、そのためには売上を増加させ、費用を減少し、資産を減少させることになる。そしてこの3つの重要な取り組みは、どれか一つを実現させれば良いわけではない事は明白であるが、日本のSCMここからはかけ離れた先進的な生産管理手法となっていった
②日本のSCMでは解決しない課題が増大⇒だからS&OPへ
2000年代後半から2010年にかけて、日本においても、グローバル化の波は大きくなり、国内の製造業においても以前の米国と同じように、本国における生産の空洞化が顕著になってり、在庫削減やリードタイム短縮を図ってきた先進的な生産管理手法としてのみのSCMでは解決できない問題が残り、数年前から戦略的な経営管理手法としてのSCMによって残された課題が顕著に表れて解決が必要になってきた
そこで、元々生販調整を推奨するS&OPに着目が集まってきた。S&OPの当初は、Sales(販売部門)とOperations(生産・調達)での情報共有の生販調整を行い、その結果でMRPを実行する事が目的であった。しかし、現在の企業が求めているS&OPはその目的も変わってきており、特に日本においては、先進的な生産管理手法のSCMとして残ってしまった課題の解決の施策としてのSCMの発展系としての位置づけが非常に強くなった
③日本でのSCMの課題
従来のSCMの取り組みで課題となって残ったものは、数量のみでなく金額も管理し、そして企業の知識を蓄積して活用し戦略的に経営の意思決定を行っていく仕組みとしてのプロセス、さらには生産のためのシミュレーションや計画間の同期化のみでなく経営のための金額を伴ったシミュレーションやそのための計画間の同期が必要性であった
サプライチェーンに関わるトータル的なコスト削減を目指し、また需要をその発生起点でとらえて変動し、顧客の要望に柔軟に対応できる仕組みが必要性であった
1、SCMにおける数量と金額の一体化、それが伴った計画間を同期したシミュレーションによる対応策(打ち手)
2、戦略的な経営の意思決定を行うプロセスとその過程における企業の知識の蓄積と活用
3、需要の発生起点での補足と変動対応への柔軟性の仕組みと、サプライチェーンのトータルコストの削減
④日本で必要なSCMとS&OPとは
日本型のS&OPは、欧米型のトップダウンではなく、ミドルアップ・トップダウンの場合が多いため、現在まで取り組んできた生産・調達・物流を対象とした従来までのSCMの取り組みにいかに販売側を組み込むかと言った取り組みが多い。これはサプライチェーンの起点が、需要にあることを改めて示すものであり需要の精度が生産側に与える影響の大きさを示しているものということになる
本来は、発生起点である需要を捉え、そこから販売計画、それを起点として生産計画を含むサプライチェーンの計画を作成すべきものであるが、多くの企業では過去の実績に基づく数量への案分が必要だったり、また予算達成ノルマを意識した販売計画であったりする場合も少なくない
これは販売部門が企業の予算達成のミッションをもつ唯一の部署である
経営と従来のSCMをつないでS&OPの目的を達成するためには、まずは、販売部門と一体化したOne Planとしての計画仕組み(Planning)が必要であり、それによりSCM本来の目的が達成される