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朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:56日目【需要予測:ARIMAモデル】
ARIMAモデル(Auto-Regressive Integrated Moving Average)
ARモデルとMAモデルを組み合わせたARMAモデルを拡張したモデル
需要の3つの成分(水平成分、傾向成分、周期成分)を考慮出来る
ARモデル
⇒過去の実績値との自己相関関係をモデル化したもので、曜日によって需要の傾向が似ているといった周期的な変動(周期成分)を考慮する
MAモデル
⇒過去の予測誤差から予測するモデルで、この意味としては通常よりも余分に発注してしまったために、次回の発注は少なくなるといった現象を表現できるモデルとなっている。
特売などのイベントの需要変動により時系列データにもとづくARIMAモデルなどでは考慮できい場合
多変量解析にもとづく予測モデルとして、重回帰分析や数量化I類による予測モデルもある。これらの予測モデルは、時系列データにももとづく予測モデルと異なり、需要に影響を与える要因との関係から需要予測を行う。
1、将来の需要予測だけでなく、販売活動の方針を検討するための分析ツールとしても活用が可能
2、製品と修理部品の関係のように強い相関がある場合は、製品の予測結果から修理部品の予測を行うモデルを構築する事も可能
朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:55日目【指数平滑法】
☆指数平滑法(exponential smoothing method)
実績値と旧予測値から各成分を予測するモデルで、水平成分のみを考慮した(1次)指数平滑法
・ホルト法:水平成分と傾向成分の2つを考慮 (1次)指数平滑法に傾向成分の増減量を加えた予測モデルで、水平成分(平均)+増減
・ホルト・ウインターズ法:水平成分と傾向成分、そして周期成分の3つを考慮
⇒周期成分を考慮したモデルで、加法型と乗法型の2つがある。乗法型のモデルは、(平均+増減)×稼働率となっており、変動率は需要の平均に対すると当期の比率である
基本となる(1次)指数平滑法は、次の式に示すようなモデルで、過去の実績値の加重平均から予測するモデルである。先の移動平均法と(1次)指数平滑法は、Excelの分析ツールでも予測できる
朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:54日目【移動平均法】
過去の一定の期間(次数)の実績値の平均から次期の予測を行うモデル
・このモデルは水平成分のみ考慮
・次数を変えることにより、需要の傾向成分や周期成分を見つけることが可能
例:増加傾向の需要⇒次数を大きくする(過去の平均を取る期間を長くする)とノイズや周期成分による需要の増減を相殺し、傾向成分のみを抽出が可能
・周期的な変動をもつ需要であれば、次数を周期と合わせることにより、周期的な変動を消すことができ、次数と同じ周期をもつ周期成分があることがわかる
移動平均法は、需要の成分を把握するためのツールとしても活用可能
移動平均法の特徴
1、偶然性に起因する需要変動(ノイズ)を取り除いて予測が可能
2、需要の変化(傾向・周期)への対応が遅くなる傾向がある
3、需要変動の傾向成分、周期成分を抽出できる
朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:52日目【需要予測②】
需要を予測するモデルは、大きく2種類に分けられる
①過去の実績値から将来を予測する時系列データに基づく予測モデル
②需要量に影響を与える他の要因間との因果関係から将来を予測する多変量解析にもとづく予測モデル
⇒初めに要因の将来予測を行い、その後に将来の要因から需要量を予測する事になる。
全社の時系列データにもとづく予測モデルには、移動平均法、指数平滑法、ARIMAなどのモデルがある。
ここではこれらのモデルの考え方を説明するために、まず、需要を構成する成分について説明する。
特売や運動会といったイベントによる影響を除くと、需要を構成する成分は、基準となる水平成分と需要の増減傾向を示す傾向成分、そして、季節的な変動を示す周期成分、最後に偶然性に起因する変動を示すノイズとなる。したがって、各予測モデルは需要を構成する成分のうち、ノイズを除くいくつかの成分から将来を予測するモデルとなっている
多変量解析とは
多くの情報を基にその関係性を解き明かす手法で、関連のある複数の種類のデータ(変数、変量)をまとめたり、将来の状態を予測するなどの解析作業の総称。
例:顧客数や商品単価、店舗数などから将来の売上高を予測したり、販売データからグループ分けを行ったりするもの。
多変量解析でできること
身長や体重、体脂肪率、肺活量、血圧などのデータから、「病気の有無や、その確率を知りたい」
こうした例からわかるように、多変量解析は実践的な手法と位置づけられています。
朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:52日目【需要予測①】
需要予測なくして、サプライチェーンマネジメントは行えない。
需要予測は販売の機会損失や過剰在庫による損失を削減するために有効な業務である。その予測精度によって大きく3つにの場合に分けられる。
①実需と予測値が等しい場合:顧客の需要にこたえられ売上の増加と在庫回転が高いため過大なスペースを使用せず、在庫コストの削減が可能となり、利益の向上が期待。
②需要を過大に予測した場:売上が増加する以上に在庫の保管費用やさらには原材料を調達するために借入金が増加するなど資金面での支出が増大し、利益は減少傾向となる。
③需要を過小に予測した場合:顧客の需要にこたえられず、売上が伸びない状態となり、欠品による顧客離れやB to Bにおいては取引停止などのリスクが発生する。
当然であるが、実需から予測が過大(②)や過少(③)となった場合、他の計画への影響が大きくなり、特に予測結果が、過小(③)となった場合は、緊急生産や輸配送が発生し、支出面でも悪影響が出る。
これだけを考えると、需要予測はやっても無駄であると感じる方もいるかと思いますが、需要予測は多くの計画を立てるための前提となるものであり、結果的にどのような形であれ、予測は立てざる得ないため、必要不可欠な業務と言えます。
予測精度の向上にはSCM部門と販売、マーケティング部門を巻き込んだPDCAサイクルを実施する体制の構築が必要であり、予測精度を向上させ、販売機会損失の削減、在庫の削減、廃棄ロスの削減、及び生産計画や購買計画など多くの計画の見直しの機会を減らすことにもつながり、売上(Salse)の好調さだけでなく、業務面(Operation)の改善で、企業の収益に貢献することになる。
見込み生産でも、受注生産においても、需要予測予測なくして計画の立案はできず、サプライチェーンマネジメントは行えないことを肝に銘じておく必要がある