社名:合同会社 C&Cビジネスコンサルティング
(製造業専門 業務改革支援会社)

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2022 / 09 / 04  07:36

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:52日目【需要予測①】

 朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:52日目【需要予測①】

需要予測なくして、サプライチェーンマネジメントは行えない。

需要予測は販売の機会損失や過剰在庫による損失を削減するために有効な業務である。その予測精度によって大きく3つにの場合に分けられる。

 

①実需と予測値が等しい場合:顧客の需要にこたえられ売上の増加と在庫回転が高いため過大なスペースを使用せず、在庫コストの削減が可能となり、利益の向上が期待。

②需要を過大に予測した場:売上が増加する以上に在庫の保管費用やさらには原材料を調達するために借入金が増加するなど資金面での支出が増大し、利益は減少傾向となる。

③需要を過小に予測した場合:顧客の需要にこたえられず、売上が伸びない状態となり、欠品による顧客離れやB to Bにおいては取引停止などのリスクが発生する。

当然であるが、実需から予測が過大(②)や過少(③)となった場合、他の計画への影響が大きくなり、特に予測結果が、過小(③)となった場合は、緊急生産や輸配送が発生し、支出面でも悪影響が出る。

 

これだけを考えると、需要予測はやっても無駄であると感じる方もいるかと思いますが、需要予測は多くの計画を立てるための前提となるものであり、結果的にどのような形であれ、予測は立てざる得ないため、必要不可欠な業務と言えます。

予測精度の向上にはSCM部門と販売、マーケティング部門を巻き込んだPDCAサイクルを実施する体制の構築が必要であり、予測精度を向上させ、販売機会損失の削減、在庫の削減、廃棄ロスの削減、及び生産計画や購買計画など多くの計画の見直しの機会を減らすことにもつながり、売上(Salse)の好調さだけでなく、業務面(Operation)の改善で、企業の収益に貢献することになる。

見込み生産でも、受注生産においても、需要予測予測なくして計画の立案はできず、サプライチェーンマネジメントは行えないことを肝に銘じておく必要がある

2022 / 09 / 03  06:56

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:51日目【在庫役割分担】

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:51日目【在庫役割分担】

正しい目標が設定され、役割が明確になっても、SCMでの組織全体のコンセンサスの形成は容易ではない

実行段階で組織間の抵抗に遭い、総論賛成・各論反対に陥り、最終的な結論が出ないまま過ぎてしまう事も多い。

この問題の背景には、2つの問題がある。オペレーション(実際の業務)では実行が可能だが、工場(部門)単位のKPIでは逆の動きになってしまうもしくは、取引先との間で取引慣行に抵触すると言った制度設計の問題とIT的にオペレーションを支援するインフラが整っていない「テクニカルな問題」である

サプライチェーンの課題は、1部門のよし悪しだけでは判断できないところが難しく、場合によっては、部門単位のKPIを覆す事になる。そのため、責任、権限、役割を明確にして、SCM部門に生産や在庫に関わる責任と権限をしっかり与える必要が出てくる。

特に、日本では、工場、製造部門の力が強いところが多く、SCMが機能しない理由の一つとなっている。そのため、SCM改革が、経営者のビジョンを明確にすると共に、相当の覚悟をもって取り組まないと成功に向かっていかないのである。一つの例として、在庫問題があるが、もう、20年も前から在庫問題が言われているが、日本では全く同じ議論が繰り返されている。この打破には経営者のSCMへの理解を深めると共に、覚悟持った改革を遂行するしかない。

また、最後に、SCM部門が他部門のKPIを覆す事権限を有する場合、その部門及び在籍する人員の評価をどうするべきか、これが大きな課題ともなる。これは、SCM改革を実行するときは、人事制度の設計も平行して、見直す事を是非、検討頂きたいと思う。

2022 / 09 / 02  06:40

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:50日目【SCMの組織体制とは(新たな考え)】

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:49日目【SCMの組織体制とは(新たな考え)】

①日本のSCMと本来のSCMとは

日本ではSCMの導入が米国に対して10年以上も遅れて紹介された事もあり、日本でのSCMの取り組みは「戦略的な経営手法」から「先進的な生産管理手法」へ転換された

日本の多くの製造企業のSCMの取り組みは、「企業に高収益をもたらす」目的以上に、在庫削減やリードタイム短縮といった方向に目的を変えて行われた

本来、「企業に高収益をもたらす」ことをROAを向上させることに言い換えると、そのためには売上を増加させ、費用を減少し、資産を減少させることになる。そしてこの3つの重要な取り組みは、どれか一つを実現させれば良いわけではない事は明白であるが、日本のSCMここからはかけ離れた先進的な生産管理手法となっていった

 

②日本のSCMでは解決しない課題が増大⇒だからS&OPへ

2000年代後半から2010年にかけて、日本においても、グローバル化の波は大きくなり、国内の製造業においても以前の米国と同じように、本国における生産の空洞化が顕著になってり、在庫削減やリードタイム短縮を図ってきた先進的な生産管理手法としてのみのSCMでは解決できない問題が残り、数年前から戦略的な経営管理手法としてのSCMによって残された課題が顕著に表れて解決が必要になってきた

そこで、元々生販調整を推奨するS&OPに着目が集まってきた。S&OPの当初は、Sales(販売部門)とOperations(生産・調達)での情報共有の生販調整を行い、その結果でMRPを実行する事が目的であった。しかし、現在の企業が求めているS&OPはその目的も変わってきており、特に日本においては、先進的な生産管理手法のSCMとして残ってしまった課題の解決の施策としてのSCMの発展系としての位置づけが非常に強くなった

 

③日本でのSCMの課題

従来のSCMの取り組みで課題となって残ったものは、数量のみでなく金額も管理し、そして企業の知識を蓄積して活用し戦略的に経営の意思決定を行っていく仕組みとしてのプロセス、さらには生産のためのシミュレーションや計画間の同期化のみでなく経営のための金額を伴ったシミュレーションやそのための計画間の同期が必要性であった

サプライチェーンに関わるトータル的なコスト削減を目指し、また需要をその発生起点でとらえて変動し、顧客の要望に柔軟に対応できる仕組みが必要性であった

1、SCMにおける数量と金額の一体化、それが伴った計画間を同期したシミュレーションによる対応策(打ち手)

2、戦略的な経営の意思決定を行うプロセスとその過程における企業の知識の蓄積と活用

3、需要の発生起点での補足と変動対応への柔軟性の仕組みと、サプライチェーンのトータルコストの削減

 

④日本で必要なSCMとS&OPとは

日本型のS&OPは、欧米型のトップダウンではなく、ミドルアップ・トップダウンの場合が多いため、現在まで取り組んできた生産・調達・物流を対象とした従来までのSCMの取り組みにいかに販売側を組み込むかと言った取り組みが多い。これはサプライチェーンの起点が、需要にあることを改めて示すものであり需要の精度が生産側に与える影響の大きさを示しているものということになる

本来は、発生起点である需要を捉え、そこから販売計画、それを起点として生産計画を含むサプライチェーンの計画を作成すべきものであるが、多くの企業では過去の実績に基づく数量への案分が必要だったり、また予算達成ノルマを意識した販売計画であったりする場合も少なくない

これは販売部門が企業の予算達成のミッションをもつ唯一の部署である

経営と従来のSCMをつないでS&OPの目的を達成するためには、まずは、販売部門と一体化したOne Planとしての計画仕組み(Planning)が必要であり、それによりSCM本来の目的が達成される

2022 / 09 / 01  06:08

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:49日目【SCMの組織体制とは(海外編)】

 朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:48日目【SCMの組織体制とは(日本編)】

SCMで先行する米国企業の調査結果(ガートナーの2010年)

・SCM部門を統括する独立した部門を持つ製造業:86%

・上記のうちCEO直下の役員がSCMを担当:68%

 

SCM統括組織は、経営に最も近いところに設置されるようになっている

SCM統括役員の管掌領域は広く、長期的視点も含めて調整していく機能である

日本では、まだ統括組織として機能しているところはまだ多くなく、仮にSCM部門が存在しても物流や生産領域にどどまり、販売やマーケティングとの設定が少ない事が問題となっている

2022 / 08 / 30  19:33

朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:48日目【SCMの組織体制とは(日本編)】

 朝活100本ノック /生産計画・在庫管理改革:48日目【SCMの組織体制とは(日本編)】

日本の組織体制の課題は、SCM部門や生産管理などトレードオフの判断をする部門が生産側や物流側に属する事が多く、全体への采配を振るう位置にいない事が多い。特に、営業部門に対する働きかけを出来る企業はそれほど多くない。製販会議がどの程度機能するかがポイントとなるが、オペレーション上で全体を仕切れる部門の存在が日本の企業には少ない。

日本企業は、現場が強いと良く言われますが、だからと言って、企業(部門)目標を現場に任せていれば自然とSCM全体への改善が進んでいくことはほとんどない。やはり、経営層がSCM全体への継続的な改革への目標(錦の御旗)を明確にして方向性を示す事は重要である。特に、グローバルで見えない範囲を取り扱う時や現代においては、世の中の変化のスピードから、経営環境変化が著しく変動するため、経営層の判断を仰いでいる時間的余裕もなく、SCM部門における現場での迅速な意思決定が必要となり、それに対応する組織体制が必要となるが、日本においてはまだ、この考えに基づく組織体制を組めている所は多くないのが現状である。

2024.12.04 Wednesday